無言を貫き、エナジーと意思を内包する「石」。
触れた時のひんやりとした感触、漂うミネラルのエッセンス。
私たちのマインドを一旦“ゼロ”へと戻し、ニュートラルな状態へと導くミニマムな香り。
みずみずしくクリアな印象を描くのは、ユズやレモン。
やわらかでウッディなロザリーナや大地のニュアンスを感じるパチュリなどがそっと支え、あたたかさと冷たさ、
相反するエッセンスがぶつかり、雑念のないムードが漂う。
まるで、神聖な境内のような穏やかさで。

生き生きと庭に咲く花々。もしくは、テーブルにそっと飾る一輪。
眺めて香り、触れ、その特別なエナジーを感じずにはいられない。花びらは膨らみ、その色はどこまでも揺らいでいく。
優雅な甘さを体現するローズやゼラニウム、清らかなラベンダーを挟み込むのは、ティートリーやユーカリの爽やかな透明感。
花々をやさしく受け止める土のように香るパチュリ、シダーウッド。それらが描くのは、モダンな花々のオードトワレの新解釈。

いつか触れた、露の湿り気をたっぷりと含んだ樹木。苔の湿度と土の温度が入り混じり、無意識に自らと呼応する。
意図せず受動的に香っていた、あの頃の記憶。
今こそ、能動的に近づいていきたいアロマティックな「木」という存在。
清潔感あふれるヒノキ、スパイシーなサイプレス、そして、穏やかでどこかスイートなホーウッド。
木々の香りに爽やかな空気を吹き込む、グレープフルーツやユズ。サンダルウッドやパチュリの骨格ある香りは、樹木が根をはる大地さながら安堵感をあたえてくれる。

甘くて酸っぱく、ほろ苦い「果実」。
日々熟れていくほどに、その内側のバランスは変化していく。
自分の中に住む、酸いも甘いも噛み分ける冷静さと大胆で自由な破天荒さ。
ミステリアスの極致。多面性の中に潜む、力強い私という存在。
みずみずしくもビターなブラックカラントの官能的な香りが芳醇に漂い、マンダリンがアクティブなあたたかさを加える。
濃厚かつ清涼感あふれるジャスミンがブラックカラントを追いかけ、奥行きある冷静でデコラティブな果実の輪郭を描いていく。

生の起点となる「種子」がこの大地に潜み、恵みを受けて育ち、空へと向かって突き上がっていく。
かつてのエデン、エネルギーの根源。同様に、私たちも“可能性”という名の「種子」を抱えている。
あらゆる夢を実現でき、どんな場所へも行けるというスピリット。
はるか昔、太古の景色。“スパイスの女王”と呼ばれたカルダモン。
森林の空気をたっぷり含んだような清々しさと、シトラスのような甘さを奏でる。
パインやゼラニウムなど、パワフルで穏やかなムードを持つスイートな香りを織り交ぜながら、ウッディなフランキンセンスが静かに包み込むように、しっかりと漂う。